HOBO日鑑イタイ新聞

職人が二本の人差し指で一文字一文字、じっくり丁寧に打ち込みました

鑑別師は電気ヒヨコの夢を見るか

「うわー、やっちまったー!」

と寝坊する夢を見て、寝汗ぐっしょりで目を覚ますことが、たまにあります。枕元の目覚まし時計を確認すると、午前2時43分。夢でよかったと一安心。その日が休日ならば、もう一眠りと布団にもぐりこみます。しかし、仕事のある日ならば、ことはそう簡単ではありません。

そもそも、鑑別師の朝は早く、仕事場が遠いときには午前2時起き、なんてのもざらにあります。そういうときには、なるべく早めに床につくのですが、人間そうなかなか都合よく眠りたい時間に眠れるものではありません。時間は過ぎる、眠気は訪れない。早起きのプレッシャーと、眠ろうとあせることで、どんどん冴えていく頭。またそうやって眠れない翌日の仕事というのは、大きな仕事だったりして、余計に休養十分で臨まねば、と考えてしまう。

そうこうするうちに、わざわざ今考えなくてもいいことまで考え始めて、全く眠れそうになくなり、起床予定時間の1,2時間前になって、ああもう駄目だ、今夜は眠れない、と開き直ってからやっと少し眠れるのです。

で、冒頭のような、運良く寝付けたにもかかわらず、へんな時間に目覚めてしまった場合、すんなり眠りに戻れることもあれば、そこから眠れないこともあります。でも運良くすぐ眠りにつけたとしても今度は

「うわー、やっちまったー!」

と誤鑑を出す夢を見て飛び起きるのです。こんなにも悪夢に苛まれている鑑別師というのは、私だけなのでしょうか……