HOBO日鑑イタイ新聞

職人が二本の人差し指で一文字一文字、じっくり丁寧に打ち込みました

イチローは4000本、リーブは21

先日、イチロー選手が、日米通算4000本安打の偉業を達成しましたね。40歳になるイチロー選手ですが、記録樹立後のインタビューによれば、未だに衰えを感じることはないそうです。徹底した自己管理によるものでしょう。本当に頭が下がります。

我らが鑑別の世界はどうでしょうか?鑑別師に定年はないと言われます。実際、普通の会社員であれば、とうに引退している年齢に差し掛かっても、活躍しておられる先輩方がたくさんいらっしゃいます。鉄人、達人、はては仙人まで。

しかし鑑別師も人間です。年を重ねれば衰える部分も出てきます。肩が痛い。腰が痛い。目が疲れる。トイレが近くなる。血圧が上がる。血糖値が上がる。数え上げればキリがありません。

そんなベテラン鑑別師が、若い鑑別師に混じって鑑別を続けていけるのは、確固たる技術はもちろんのこと、手を動かすだけでなく、口も動かすことで対抗しているからなのです。ここをお読みの鑑別師の方がいましたら、これからご紹介するフレーズを活用して、生き馬の目を抜く鑑別業界を生き抜いてください。

 

  1. 「俺は鑑別始めてもう25年になるけど、君は何年鑑別やってんの?」

時間は誰にでも平等に与えられています。たとえキャリアの中身がどうあれ、年数を重ねたと言う事実の重みは変わりません。そして、後輩鑑別師がどうあがいても勝てないのが、この経験年数です。水戸黄門の印籠です。助さん格さん懲らしめてやりなさい!

 

 2.「10年続けてやっと一人前かな」

ちょっと上手な鑑別師は、2年目くらいから可愛げがなくなり始めます。お前なんぞはまだまだひよっこだ!ハナ垂れ小僧だ!青二才だ!きんは百才だ!ぎんも百才だ!と思い知らせてやりましょう。

 

 3.「いやあ、私なんて30年やっても、まだまだわからないことばかりですよ。日々、勉強です」

10年以上の経験者に対して、2番目のフレーズを使ってはいけません。一人前と認めてやるようなものです。そういう時は逆に思いっきりへりくだります。キャリア30年のベテランが、ここまでへりくだっているのに、鑑別がわかったような顔を出来る人間はなかなかいません。ただし、鑑別師の中にも普通の神経でない人間はおりますので、KYな人、KHな人には使わないでください。

 

  4.「○○君?若い頃よく面倒見てやったよ」

○○の部分には、競技会優勝者の名前が入ります。チャンピオンの名前を出して、虎の威を借る狐そういう実力者と親しい自分、一目置かれている自分を演出します。後輩の面倒を見てこなかった?心配は要りません。鑑別界では、缶コーヒーをおごってやったことがあれば、面倒を見てやったと公言できます。

また、あなたが、面倒を見てやったと言いふらしていることを、本人が知ったとしても、問題ありません。競技会優勝は馬鹿にはできません。出る杭は打たれる、という諺を知らないはずはありません。ここで調子に乗っては袋叩きにあう、とチャンピオンたちは、いつも脅えて暮らしているのです。(いつてめえの世話になったよ、じじい!)あるいは、(誰?)と内心、思っていたとしても、表向きは「その節は大変お世話に…」と言ってくれます。

 

いかがでしょうか?鑑別界を生き抜く魔法のフレーズの数々。参考になりましたでしょうか?

そういえば、イチロー選手の記録達成の日、和田アキコが観戦に来ていたそうです。いつ記録が達成されるか、わからないのにその場に居合わせる。これこそスターですよ、とイチロー選手がインタビューで褒め称えていました。

歌手としての人気、実力から見れば、和田アキコ以上の人は沢山いるはずです。にもかかわらず、大物芸能人として扱われ、芸能界のご意見番、ドンなどと呼ばれている……実はここに大事なヒントが隠されています。そう、はったりです。エラそうに振舞うのです。そうすれば周囲も、もしかして偉い人なのかしら?と思ってくれます。

実るほど頭を垂れる稲穂かな、と言いますが、それは実力のある者、中身のある者に対して言う言葉です。中身の無い場合は、必要以上に胸を張り、ブラフを磨いて生きていくのです!